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職員

小西民恵

香川大学 医学部管理課 小西民恵

【DXラボスタッフに聞いてみた】医学部管理課 小西民恵


DX推進研究センター特命准教授 久我 透


医学部管理課 小西民恵


情報システム課 木村悠佑


香川大学DXラボのスタッフブログでは、DX推進の現場で活躍する学生やスタッフのリアルな声をお届けしています。

今回登場する小西さんの特徴は、「正解は最初から決められない。現場で使われてはじめて、本当の課題が見えてくる。」「現場の違いを受け入れながら修正し続ける」というスタンスにあります。標準化や効率化に向かうだけでなく、あえて立ち止まり、現場ごとの前提を見直し続ける姿勢が印象的でした。本記事では、自動車入構システムの導入を題材に、既存事例をどのように読み解き、どのように現場に合わせて再設計していったのか、具体的な判断のプロセスに注目してご紹介します。


小西さんは本記事で取り上げるシステムの他、以下のシステム開発も行っています。


KadaFacility<建物修繕依頼システム>


 



※インタビュー内容の一部はMicrosoft Copilotを用いて自動要約し、一部修正を加えたものです。


自己紹介

久我:DX推進研究センター特命准教授の久我です。今日はよろしくお願いします。

木村:情報システム課の木村です。今日はよろしくお願いします。

小西:医学部管理課の小西です。2024年度・2025年度にデジタルONEアンバサダーとして活動していました。現在は医学部の会計関係事務の総括・連絡調整などを担当しています。今日はよろしくお願いします。


※デジタルONEアンバサダーの関連記事はぜひこちらもご覧ください。  

 →木村 悠佑 | 職員 | インタビュー | 香川大学DXラボ  

 →小寺 賢志 | 職員 | インタビュー | 香川大学DXラボ 

 →池浦慶郎<前編> | 職員 | インタビュー | 香川大学DXラボ  



自動車入構システムの取り組みから見えてきたこと 

木村:これまでアンバサダーとしていくつか取り組まれてきたと思いますが、今回特に、自動車入構のシステム化に関わられたと伺っています。まずは、その取り組みの概要から教えていただいてもいいですか? 

小西:はい。医学部では教職員、医療職員、学生と、通勤・通学で車を使う人が多くて、これまで紙で申請を受け付けていたんですけど、それをシステム化できないかということで関わりました。 

木村:なるほど、日常業務に近いところからDXに取り組まれたんですね。その中で、学内で既に開発・運用されていた仕組みを参考にされたと聞いています。 



"既存事例"をそのまま導入しない —規程と現場に基づく再設計 

木村:最初は既存のシステムをそのまま導入する案もあったと思うのですが、実際にはかなり調整して導入していますよね。 

小西:そうなんです。最初は先行して導入していた幸町南キャンパスの仕組みをそのまま導入して使おうとしていました。でも中身を見ていくと、「この書類、医学部では取っていないな」と気づくことがあって。 

久我:例えばどんなところですか? 

小西:免許証のコピーや車検証の提出ですね。規程を確認したら「必須」とは書いていなかったんです。だから「本当に必要?」と考えて、現場の担当者と相談して医学部での運用に合わせるようにシステム側を調整しました。 

久我:確かに、それは大きな違いですね。 

小西:はい。以前から医学部ではこれまでの運用の中で一定の整理がなされていたので、それに合わせてシステムを設計する方が自然だと考えました。既存の仕組みは参考にはなりますが、そのまま導入するのではなく、自分たちのルールと運用に照らして再設計することも重要だと感じました。 

木村:既存事例を前提にするのではなく、あらためて設計し直したということですね。 

小西:そうですね。DXを考えるうえでは、既存の仕組みにとらわれず、「自分たちにとって本当に必要なものは何か」という視点から見直すことが大切だと感じました。  

 


“最初から分ける”ことで無理のない設計に 

久我:教職員と学生でシステムを分けたのも特徴的でした。申請の入口自体は共通にできそうにも思うのですが、あえて分けた理由はどこにあったんでしょうか。 

小西:おっしゃる通りで、最初は一つの入口(フォーム)でいけると思っていたんです。ただ、検討していく中で「入口は同じでも、その後の流れが大きく違う」と気づきました。 

久我:後の流れ、というのは具体的には? 

小西:例えば申請後のやり取りです。職員であれば学内便で完結できますが、学生の場合は窓口での受け取りが前提になります。さらに大学院生だと、その窓口にも来られないケースがありました。 

久我:なるほど、出口の運用が全然違うんですね。 

小西:はい。その違いを一つのシステムで吸収しようとすると、入力項目や条件分岐が増えてしまって、使いづらくなると感じました。 

木村:確かに、分岐が多いとユーザーも迷いやすいですね。 

小西:そうなんです。最初から対象ごとに分けてしまった方が、それぞれの利用者にとってシンプルで分かりやすい設計にできると判断しました。 

木村:利用者の使い勝手を考慮して、あえて分けたということですね。 

小西:はい。結果として、学生側については運用しながら柔軟に調整もしやすくなりました。大学院生の対応を後から変えられたのも、システムを分けていたからだと思います。 

木村:なるほど、「後工程の違いから入口設計を分けた」というのがポイントなんですね。 

小西:そうですね。一つにまとめることより、「無理なく使えること」を優先した設計でした。 



「小さく始める」だけではない —繁忙期を避けて成功確率を上げる 

木村:学生から先に導入した判断も印象的でした。 

小西:はい。いきなり全体に導入するのはリスクが高いと思ったので、まず規模の小さいところから始めました。 

木村:それだけですか? 

小西:いえ、それだけじゃなくて「タイミング」も工夫しました。学生を対象にしたのは人数が少ないという理由もありますが、さらに冬休みの時期から始めたんです。 

久我:なるほど、繁忙期を避けたんですね。 

小西:はい。担当者は年間の業務量を分かっているので、「この時期なら負荷が少ない」と判断できました。うまくいかなくてもリカバリーしやすい時期に始めることで、心理的なハードルも下がりました。 

木村:確かに、それは現場を知っている人ならではの判断ですね。 

小西:そう思います。単に小さく始めるだけでなく、「どこのタイミングで始めるか」も重要だと感じました。 



“将来の働き方”を見据えて移行する —医療現場特有の壁 

木村:医学部ならではの難しさはありましたか? 

小西:ありました。医療職の方の中には、院内の専用端末を主として使用している方もおり、電子カルテ等の院内情報システムのネットワークは通常のインターネットから切り離されていることから、OutlookやFormsの使用にあたって、ログインや多要素認証のところで戸惑われるケースがありました。

木村:確かに、一般の事務職とは通信環境がかなり違いますよね。 

久我:そのときに、紙の運用に戻すという選択肢は出なかったんですか?

小西:もちろん検討はしました。ただ、そこで戻してしまうと、その先も同じ形が続いてしまうのではないかという思いもありました。大学としてこれからデジタルを使っていく必要があると考えて、「使いながら少しずつ慣れていただく」という進め方を選びました。 

久我:なるほど、段階的に移行していくという考え方ですね 

小西:はい。「目の前の効率」ももちろん大事ですが、それだけでなく、この先どういう働き方にしていきたいかという視点で、進め方を考えることが大切だと感じています。 



「組織として支えながら進める開発」がモチベーションを支える 

久我:開発の途中で大変だったことはありますか? 

小西:正直、関係者が多くて意見もいろいろ出てくるので、「どう進めたらいいんだろう」と悩むことはありました。 

木村:それをどう乗り越えたんですか? 

小西:一人で抱え込まなかったことです。情報部の方に相談したり、過去のアンバサダーの取り組み事例を教えてもらったりしながら進めました。 

久我:なるほど。個人で解決するというよりは、周りに頼りながら進めていったんですね。 

小西:自分の業務だけだったら効率化のために頑張る、というモチベーションになりますが、複数人で進めると「一緒に作っている」という感覚があります。 

久我:確かに、その違いは大きいですね。 

小西:孤独な開発ではなく、「チームで進めている」という実感があったことが、最後までやり切れた理由の一つだと思います。 

 


「できるか」から「意味があるか」へ —判断基準の変化 

木村:アンバサダー経験で変わったことはありますか? 

小西:大きく変わりました。以前は「できるか・できないか」で判断していたと思います。 

木村:今は違うんですか? 

小西:今は「やる意味があるか」「全体にどう影響するか」で考えるようになりました。 

久我:具体的にはどんな場面で感じますか? 

小西:例えば今の監査業務でも、「ここを効率化したい」と思ったときに、その後の処理や年度末の決算に影響が出ないかまで考えるようになりました。 

久我:一部分ではなく全体を見るようになったと。 

小西:はい。自分の業務だけ良くなればいいわけではないと実感しています。 

木村:なるほど、部分最適ではなく全体最適で判断するようになったということだと思います。 

小西:そうですね。アンバサダーの活動で色んな部署と関わる中で、一つの業務だけを改善しても、他の業務に影響が出てしまう場面を多く経験しました。そのため、一つの改善を考えるときも、全体の流れや他部署への影響まで含めて判断することが重要だと考えるようになりました。 



改善の起点は「一度の説得」ではなく「対話の積み重ね」 

久我:最後に、DXを広げるために大事なことは何だと思いますか? 

小西:やはり対話だと思います。一度説明しただけではなかなか変わらないです。 

木村:確かにそうですね。 

小西:何度も話して、「なぜそれが必要なのか」「なぜ変えられないのか」をお互いに理解することが大切です。 

久我:一方的に進めるのではなく、一緒にですね。 

小西:はい。いろんな立場の方と話していると、自分では気づかなかった前提に気づくこともあります。 

木村:それが改善につながると。 

小西:そうですね。「正解を押し付ける」のではなく、「一緒に見直していく」姿勢が重要だと感じています。 



おわりに 

小西さんの話から見えてきたのは、「正解を最初から決めないDX」という考え方です。ただしそれは、単に柔軟に対応するということではありません。 規程や現場運用を踏まえたうえで必要なルールを見定め、全体への影響を考えながら設計する——。 

一つひとつの判断を積み重ねることで、業務単位の最適化ではなく、全体として持続可能な仕組みへとつなげていく。そのプロセス自体が、DXの本質であるといえます。 

DXはツールの導入ではなく、業務の捉え方や判断軸を変えていく取り組みです。 あなたの現場でも、「当たり前」とされている前提を問い直すことから、変革が始まるかもしれません。