インタビュー

interview

職員

池浦慶郎

香川大学 人事企画課

【DXラボスタッフに聞いてみた】人事企画課 池浦慶郎


DX推進研究センター特命准教授 久我 透


人事企画課 池浦慶郎


情報システム課 木村悠佑


香川大学DXラボのスタッフブログでは、DX推進の現場で活躍する学生やスタッフのリアルな声をお届けしています。

今回お話を伺ったのは、人事企画課と情報システム課を併任している池浦慶郎さん。池浦さんは非情報系職員でありながらもデジタルONEアンバサダーとして、教職員誓約システム、受託・共同研究管理システムという、部署横断・全学規模のDXに深く関わってきました。本記事では、池浦さんの経験を通して、「なぜ香川大学ではDXが“現場に受け入れられる形”で進んだのか」をひもといていきます。

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※池浦さんは情報システム課併任前の内容と併任後の内容に分けて紹介します。(全2回)
今回は併任前のデジタルONEアンバサダーとしての内容です。

 ※インタビュー内容の一部はMicrosoft Copilotを用いて自動要約し、一部修正を加えたものです。


自己紹介

久我:DX推進研究センター特命准教授の久我です。今日はよろしくお願いします。  

木村:情報システム課の木村です。今日はよろしくお願いします。 

池浦:人事企画課と情報システム課を併任している池浦慶郎です。人事企画課では主にダイバーシティ&インクルージョンや人事関係業務を担当しています。2025年4月から人事企画課に異動し、2025年6月から情報システム課を併任しています。人事企画課に異動する前は地域連携推進課でした。よろしくお願いします。

 ※デジタルONEアンバサダーの関連記事はぜひこちらもご覧ください。 

「途中から関わった」からこそ見えたDXの勘所  ― 教職員誓約システムとの出会い ― 

木村:まず、デジタルONEアンバサダーとして関わった取り組みを教えてください。 

池浦:一番印象に残っているのは、教職員誓約システム(※)ですね。地域連携推進課にいた頃に関わりました。 

木村:あのシステム、複数部署が関わる難易度の高い案件でしたよね。 

池浦:そうですね。ただ、実は最初から設計に関わっていたわけではなくて、ある程度話が進んだ段階で参加しました。 

久我:途中参加だと、やりにくさはありませんでしたか? 

池浦:逆に、やりやすかった部分もあります。「なぜやるのか」は決まっていたので、現場でどう運用するか、どうすれば回るかに集中できました。 

(※)教職員誓約システム:採用時に最大4種類の誓約書の提出を各部署から求められ、何度も手書きで署名する必要があったものを、一つの電子申請フォームに統合した。教員や事務職員のほか、医療職員も誓約の対象となる。

 →デジタルONEアンバサダー2023最終報告会を実施しました 


医学部も含めた全学展開 ― 制度は変えず、運用を見直す― 

木村:教職員誓約システムへの統合で一番調整が必要だったのはどこでしたか? 

池浦:医学部ですね。病院の先生や看護師さんも対象になるので、紙からデジタルへの切り替えには慎重さが求められました。 

久我:どこがネックだったのでしょう。 

池浦:「100%提出されるのか」という不安です。紙のときは説明会で一斉に書いてもらえましたが、システム化すると個別入力になります。 

木村:そこはどうやって合意を得たんですか? 

池浦:制度自体は変えていません。誓約のタイミングを、説明会時から説明会後に変更しました。方法は、紙から教職員誓約システム(Forms)への変更です。そして話し合いや検証を通して「100%提出されるのか」という不安を解消し、運用が変わっても問題ないという判断のもと導入に至りました。 


「誰も取りこぼさない設計」を最優先にした理由 

木村:設計面で特に意識したことはありますか? 

池浦:一番考えたのは、「対象者を取りこぼさない」ことです。 

木村:誓約書といっても種類がありますよね。 

池浦:はい。人事系は全員対象、研究インテグリティは一部対象。 ここが曖昧だと、「対象外なのに通知が来た」「自分は関係ないと思っていた」という人が必ず出てきて現場が混乱します。 

久我:だからFromsへの入力によって自動的に対象の誓約が出来るよう現場目線の分岐設計を取り入れたんですね。 

池浦:そうです。誰が、どの誓約書を出すべきかをシステム側で判断し、なぜこの誓約が必要なのか明示するようにしました。DXは便利さより、まず現場の「納得感を優先する」ことが大事だと思っています。 

※回答の選択によって、誓約が必要かどうかを判断します。 


 

もう一つの大きな転換点  受託・共同研究管理システム 

― 「Excelが乱立して、誰も全体を把握できない」 ― 

木村:もう一つ、池浦さんが深く関わったのが、受託・共同研究の可視化ですね。 

池浦:はい。こちらも地域連携推進課時代の取り組みです。 

久我:どんな課題があったのでしょう。 

池浦:地域連携推進課と各部局が、それぞれ別に受託研究や共同研究の進捗ステータスを管理するExcel台帳を持っていました。しかしどの情報が最新か分からなかったり、それぞれの台帳の数字が合わなかったり、結局問い合わせのたびに各部局へ現状の確認が必要で、正直、業務がかなり非効率でした。 

木村:そこで統一した方がいいと考えたわけですね。 

池浦:そういうことですね。


最初は「業者発注」が前提だった

木村:当初、受託・共同研究管理システムは業者に発注する予定でしたよね。 

池浦:はい。スクラッチ開発を想定して見積もりも取りました。 

木村:でも途中で方針転換しました。 

池浦:理由はシンプルで、予算です。 要件を詰めるほど金額が膨らみ、「これは現実的じゃないな」と。


内製に切り替えられた理由  ― 教職員誓約システムでの経験が効いた ―

久我:そこでDXラボに相談した。 

池浦:はい。「内製でどこまでできるか」を考えました。 

久我:不安はなかったですか? 

池浦:不安はありましたが、教職員誓約システムの経験があったので、 「意外とできる」という感覚がありました。 

木村:ここが重要ですね。 

池浦:もし内製開発の経験がなかったら、そのまま業者に頼んでいたと思います。 

久我:つまり、一つ目のDXが、二つ目のDXの判断を変えた。 

池浦:まさにそうだと思います。 


想定以上だった内製の価値 

木村:結果的に、どうでしたか? 

池浦:業者案以上の価値が出たと思います。特にBIによる分析で、どの部局の研究が多いのか、年度ごとの推移など、「見える化」できたのは想定外でした。 

木村:登録するだけでなく、見える化できたということですね。 

池浦:はい。業者から提案されていた「とりあえず登録できるシステム」ではなく、分析し使いながら改善できる余地が残ったため、今後も本当に欲しい機能は小規模な開発を繰り返しながら実装出来ることが大きいです。


DXは「成り行き」ではなく「積み上げ」

木村:池浦さんご自身はDXを推進した実感はありますか? 

池浦:正直、あまりないです。学内のハンズオンを受講し、なんとなくこんなことは自分で達出来るという感覚はありましたが、その時々で現実的な選択をしただけです。 

久我:でも振り返ると、ハンズオンにより知識や技術の習得 → 小さなシステムの内製開発を経験 → 情報部に気軽に相談できる環境や関係性 → 業者に頼る前に自分たちで最低限の要件を考え次の内製開発の判断という流れがあります。 

池浦:言われてみると、そうですね。結果的に、内製開発が選択肢に入る状態になっていたんでしょうね。 


DXを広げるために一番大事なこと 

木村:他の職員にDXのきっかけを与えるには? 

池浦:特別な施策より、普段の会話だと思います。 

久我:雑談ですか。 

池浦:はい。「これ面倒ですよね」という一言から、「DXで変えられるかも」が生まれる。拾いに行かないと、課題は拾えません。 


おわりに

池浦さんの二つの取り組みから見えてきたのは、 

●小さな内製開発の経験が、次の判断を変える
●完璧でなくても、止まらなければ前に進む
●現場の担当者が関わることでDXは現実になる 

教職員誓約システムから受託・共同研究管理システムへ。 この連続性こそが、香川大学DXの“再現可能なノウハウ”なのかもしれません。

次回は、池浦さんが現在併任として所属する情報システム課の視点から、DXラボと現場をつなぐ役割や、全学DXを支える裏側について、さらに踏み込んでお話を伺います。